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病院から介護・デイケアに動こうか迷っているPTは、けっこう多いと思います。
先に、私の立場を正直に書きます。
私は理学療法士として13年、デイケア(通所リハビリ)で働いてきました。病院での勤務経験はありません。
だからこの記事は、「病院から転職した私の体験談」ではありません。
そのかわり、デイケアで長く働く”受け入れる側”として、病院から移ってきたPTに何人も出会ってきました。
その人たちが、何に戸惑い、何にホッとしていたか。
13年通所の現場にいるからこそ見えてきたデイケアのリアルを、できるだけフラットに書きます。
結論から言うと、病院から介護・デイケアに動くと、年収は下がる傾向。でも「働き方の負担は軽くなった」と話す人が多いです(もちろん個人差があります)。
転職を急かす記事ではありません。あなたが自分で選ぶための、判断材料の1つになればうれしいです。
病院から介護に動く理学療法士が増えているのはなぜか
最近、まわりのPT仲間と話していると、介護領域に動いた人が増えたと感じます。
理由は人それぞれですが、私が見聞きしてきた中ではこの3つが多いです。
- 病院の残業や当直まわりがしんどい
- 1人あたりの単位数ノルマに追われたくない
- 自分のペースで利用者さんと向き合いたい
特に、子育て世代のPTが介護領域を選ぶ傾向は強い気がします。
夜は子どもが寝てから帰宅、という働き方が続くと、「これは長く続けられるかな」と立ち止まる瞬間が来ますよね。
もちろん、病院でやりがいを感じて働いている人もたくさんいます。「急性期じゃないと得られない経験がある」という意見も、本当にその通りだと思います。
ただ、人生のフェーズで「働き方そのもの」を変えたくなる瞬間は、誰にでも来ると思うんです。
そのときに、介護領域が選択肢に入ってくる。これが今、PT界隈で起きていることだと感じています。
デイケアで13年働いて分かった「通所のリアル」
ここからは、私が13年デイケアで働いて実感している、通所のリアルです。
病院との比較は私には実体験で語れませんが、通所側の実態なら、毎日のことなので具体的に書けます。
時間:送迎の時間で1日が区切られる
デイケアは、利用者さんの送迎時間が決まっています。
そのため、利用者さんが帰ったあとは、業務が一気に落ち着きます。
カルテや記録も、現場の流れに合わせた量・粒度で運用されている施設が多いです。私の体感では、ここが「終わりの見えやすさ」につながっています。
定時で帰れる日が多いかどうかは施設によりますが、1日の区切りがはっきりしているのは通所の特徴だと思います。
心:同じ利用者さんと長く関われる
通所リハビリは、同じ利用者さんと月単位・年単位で関わり続けます。
「あのとき立ち上がりがつらかった人が、いまは自分のペースで歩いて来てくれる」
こうした変化を、何ヶ月もかけて一緒に見られるのは、デイケアならではの関わり方です。
短期間で結果を急かされにくい分、腰を据えて向き合える働き方だと感じています(その分、変化がゆっくりで、やりがいの感じ方は人によります)。
お金:給与水準は「上がり幅がゆるやか」な職場が多い
ここは正直に書きます。
一般に、病院から介護領域に動くと年収は下がる傾向があると言われます(個人差・地域差が大きいです)。
理由としては、夜勤・当直手当がなくなる、賞与の月数が変わる、施設規模が小さくなる、などが挙げられます。
私自身は通所一筋なので「下がった額」を体験では語れませんが、デイケアは昇給ペースがゆるやかな職場が多いのは、13年いて実感しています。
夜勤手当がなくなると、月収にどう影響する?(一般的な目安)
「夜勤手当がなくなると実際いくら変わるのか」は、転職を考える人がよく気にする点です。
あくまで一般的な目安・個人差ありという前提で書きます。
- 病院で月4〜5回の夜勤がある場合、夜勤手当(1回あたり3,000〜8,000円前後・施設による)に深夜割増が加わる
- 月ベースでおよそ1〜3万円前後の加算になるケースが多いと言われる
- 回復期リハ加算や当直手当が別途つく職場もあり、これらがまとめてなくなると年収換算で差が出ることもある
(数字は施設・雇用形態・夜勤回数で大きく変わります。必ず求人ごとに確認してください。)
一方でデイケアも、処遇改善加算の状況や法人規模で給与水準は変わります。「下がって当然」と決めつけず、具体的な数字は求人や転職エージェントで個別に確認するのが確実です。
病院から移ってきた人が「戸惑ったこと・ホッとしたこと」
ここが、通所で長く働く私だからこそ書ける部分です。
病院から介護に移ってきたPTを受け入れる中で、共通して見えてきた傾向があります。
よく戸惑っていたこと
- テンポの違い:急性期のスピード感に慣れていると、最初は「ゆっくりに感じる」人が多い
- 扱う領域の変化:術後や急性期の症例から、生活期中心へ。評価の着眼点が変わる
- 記録の作法:病院の詳細なカルテと、通所の記録は粒度が違うので、最初は戸惑いやすい
よくホッとしていたこと
- 1日の終わりの時間が読みやすい
- 同じ利用者さんと関係を積み重ねられる
- 「次々に退院していくお別れ」が少ない
おもしろいもので、最初に戸惑っていた点が、数ヶ月たつと「これがいい」に変わる人が少なくありませんでした。
テンポについてもう少し書くと——急性期に慣れた人は最初の数週間「これでいいの?」という戸惑いを感じることが多いです。デイケアでは1人の利用者さんと1回の時間をじっくり使います。病院のように「次の患者さんへ」という速度では動かない。
その「ゆっくり」が、3ヶ月ほどで「じっくり見られる」に変わる。利用者さんの生活の変化を月単位で一緒に見守れる、という部分に手応えを感じはじめる人が多いです。私自身も、デイケアで長く働き続けてきた理由を問われると、「同じ人と長く関わり続けられること」と答えると思います。
こんな場面も、繰り返し見てきました。病院での人間関係に疲れてデイケアに移ってきた方が、最初はまわりに遠慮しがちで、意見もなかなか言えない様子でした。でも、話しやすい雰囲気の中で少しずつ関わりを重ね、会話ができるようになり、認めてもらえる経験が積み重なると——3ヶ月ほどで「ここは居やすい」という顔になっていく。
「認めてもらえる環境」が人をこんなに変えるんだと、正直驚きました。長く働き続けられるかどうかは、スキルよりも「職場の空気」に左右される部分が大きい——13年通所にいると、そう感じます。
逆に、急性期のテンポが好きだった人は、物足りなさを感じて戻っていくこともあります。どちらが良い悪いではなく、合う・合わないの問題だと、見ていて思います。
病院から介護に転職する前にチェックすべきこと
受け入れる側として見てきた経験から、転職前に確認しておきたい点を整理します。
| チェック項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 年収 | 額面だけでなく賞与月数・手当・退職金まで |
| 残業時間 | 月平均・繁忙期のピーク |
| 配置基準 | PT1人あたりの利用者数 |
| カルテ・記録 | 紙か電子か・1人あたりの記録時間 |
| 教育体制 | 勉強会・外部研修の補助 |
| 利用者層 | 要介護度の分布・認知症の割合 |
これを1人で全部リサーチするのは、正直しんどいです。
求人票だけでは分からない「残業の実態」「職場の雰囲気」は、PT専門の転職エージェントが裏側を教えてくれることがあります。登録も相談も無料のところが多く、「とりあえず話を聞く」だけでも選択肢が見えてきます。
「いますぐ転職するつもりはない」段階でも、登録して相場感や非公開求人を眺めておくと、判断材料が増えます。まずは情報収集から始めるのが安全だと思います。
デイケアと訪問リハビリ、どちらが自分に合う?【通所PT視点で比較】
はじめに正直に書きます。私は通所リハビリ(デイケア)しか経験していません。訪問リハビリの現場に立ったことはないので、実体験からの比較はできません。
その前提で読んでください。
ただ、転職を考えるPT仲間から「訪問とデイケア、どちらが向いているか」という相談をよく受けます。その中で見えてきた傾向を、通所PT目線で整理します。
(参考にとどめてください。実際の職場環境は施設によって大きく異なります。訪問の実態は、経験者や転職エージェントに直接確認するのが確実です。)
デイケア(通所リハビリ)が向いている人の傾向
- 複数の利用者を同時にみる「調整」が得意な人
- 施設内のチームで動くことが好きな人
- 利用者と継続的な関わりができる環境を好む人
- 規則的なスケジュールで動きたい人
訪問リハビリが向いている人の傾向(仲間の話から)
- 一人で考えて行動するのが苦にならない人
- 利用者の生活環境に深く関わりたい人
- 移動時間が苦にならない人(天候・交通への対応も必要)
- スケジュールや記録を自分で自律的に管理できる人
働き方の違いをざっくり整理すると
| 観点 | デイケア(通所) | 訪問リハビリ |
|---|---|---|
| 1日の動き方 | 施設内・チームで流れる | 一人で移動・訪問の繰り返し |
| 利用者との関わり | 集団+個別、連続性あり | 1対1・生活環境に密接 |
| 記録のタイミング | 利用者が帰った後にまとめて | 移動中・訪問後にこまめに |
| 天候・移動の影響 | 比較的少ない | 大きい(移動手段による) |
| スケジュールの読みやすさ | 高い(時間割が決まっている) | 変動が多い場合あり |
※これは一般的な傾向であり、施設・法人によって大きく異なります。必ず実際の現場で確認してください。
共通して大事だと思うこと
どちらの領域でも、「自分がなぜリハビリ職を選んだか」に立ち返ると選びやすいと感じます。私自身、デイケアでの関わり方が自分に合っていると実感できるまで、何年もかけて少しずつ確かめてきました。
転職エージェントを通じると、実際の職場の働き方(1日の件数・移動の範囲・記録時間)を事前に確認できることがあります。入ってから「思っていたのと違う」とならないためにも、情報収集の段階で具体的に聞いておくのをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
実際に病院→介護の転職を考えるPTから、よく聞かれる質問をまとめます。
Q1. 病院から介護に行くと、PTとしてのキャリアが止まる?
人によります。
たしかに、急性期の経験を積む機会は減ります。ただ、生活期は生活期で必要な視点があり、認知症や多疾患併存への理解、家族支援、地域連携など、別軸のスキルが伸びます。
「キャリアが止まる」というより、「専門の方向が変わる」と捉えるほうが正確だと、受け入れる側として見ていて思います。
Q2. 何年目で動くのがベスト?
これも人によります。
私のまわりでは、3〜5年目で動いた人が多い印象です。一通り急性期・回復期を経験して、生活期に興味を持ったタイミングが多いのかもしれません。
ただ、年数より「自分が何にしんどさを感じているか」のほうが、判断材料としては大事だと思います。
Q3. 年収はどのくらい下がる?
ケースバイケースです。
施設規模・地域・夜勤手当の有無で、下がり方は大きく変わります。
「下がる前提で、生活水準とのバランスをどう取るか」を先に考えておくと、後悔しにくいです。
Q4. デイケアと訪問リハ、どちらがいい?
向き不向きがあります。
デイケアは「チームで動く」、訪問は「1人で完結」、という感覚の違いだと、仲間の話を聞いていて感じます。
迷ったら、両方の現場見学をさせてもらうのが一番早いです。
まとめ:あなたが今、病院に違和感があるなら
ここまで、通所で13年働く私から見た、病院→介護のリアルを書いてきました。
要点をもう一度まとめます。
- 病院から介護への転職は、年収は下がる傾向、働き方の負担は軽くなる人が多い(個人差あり)
- デイケアは時間の区切りがつきやすく、利用者と長く関われるが、急性期の経験は積みにくくなる
- 給与の上がり幅は施設による。事前のチェックが大事
- 急性期で得られる技術と、生活期で磨かれる視点は別物
- 判断は「年数」より「いま自分が何にしんどさを感じているか」
もしあなたが今、病院に違和感を抱えているなら、いきなり辞める前に、情報を集めることから始めるのが安全です。
転職するかどうかは、情報を集めてから決めれば大丈夫です。「とりあえず登録して相場を見ておく」だけでも、視界がかなり開けます。
まずはPT向けの転職サイトに登録して、いまの自分にどんな求人があるかを眺めてみてください。動くかどうかは、そのあとで決めれば大丈夫です。
選ぶのはあなたですが、選ぶための材料は、早めに揃えておいて損はありません。
今日のあなたの一歩が、来年のあなたを少し楽にしてくれるはずです。
※本記事は2026年時点の、通所リハビリで働く一個人の見聞に基づいた内容です。給与・労働条件は施設・地域により大きく異なります。最新情報は各転職サービス・求人元でご確認ください。体調や働き方に不安がある場合は、専門家やかかりつけ医にもご相談ください。
この記事を書いた人
オミ|デイケアで働く理学療法士(臨床13年)
理学療法士として13年、デイケア(通所リハビリ)一筋で働いてきました。病院から介護へ移るか迷うPT仲間や、実際に移ってきた人たちを受け入れる中で見えてきたことを、「迎える側・長く働く側」の視点で発信しています。30〜40代・子育て世代のPTが、長く無理なく働き続けられるための情報を中心にまとめています。月1万円の副収入を目指しながら、ブログ「シンプルライフ研究所」を運営中。
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